ゲノム分析と歴史解釈 特別講演
· 掲示日: 2021年 06月 14日(月)
· リンクアドレス: http://www.hongikf.org/sub/sub10_03.php?p_idx=28
· Youtube: https://www.youtube.com/watch?v=nb5euntzGa0
· 主管 ‧ 主催: 弘益財団
第五講演: 遺伝子解析から見た東アジアの民族関係
‒韓国・日本・中国を中心に‒
斎藤成也 敎授(国立遺伝学研究所 集団遺伝研究室)
次世代シークエンサーの開発により、人類進化の研究は革命と呼べるような変化がおこりました。そこで、日本列島人(ヤポネシア人)の起源と成立を詳細に調べる「ヤポネシアゲノム」研究を進めています。現在の定説は、旧石器時代から縄文時代を通じてヤポネシアに渡来した採集狩猟民のあとに、弥生時代以降水田稲作農耕を持ち込んだ農耕民という2種類の人々がおり、ヤポネシアの北と南ではそれぞれアイヌ人とオキナワ人が前者の遺伝子を色濃く残した一方、ヤポネシアの中央部では農耕民の遺伝子が多量に伝わったヤマト人が存在するという「二重構造モデル」です。このモデルは現代人と古代人のDNAデータから支持されましたが、その後ヤポネシアの中の地域多様性を調べた結果、中央部に「うちなる二重構造」が存在するという仮説をわれわれが提唱しました。この仮説も最新のDNAデータに支持されつつあります。ただし、このモデルに必要な三段階・三種類の人々の渡来時期はまだよくわかっていません。